4ヶ月にもなると、ものに手を伸ばしたりし始めます。目のピントを合わせたり、奥行きを捉える能力が備わってくるからです。視力はまだ0・1程度ですが、目の使い方を覚えるにしたがって、いろいろなものに興味を示したり、実際に体を動かしたりするのです。そして生後8ヶ月くらいになると、視覚と手の動きと記憶力が連動し始めます。ボールや積み木を触りながら、色や形、手触りを記憶していくんですね。
こうして見る能力をぐんぐん伸ばし、視力も6歳になるまでに1・0に伸び、ほぼ子どもの目は完成します。
人は目から育っていく
赤ちゃんの目の発達からわかるのは、人間がいかに視覚情報から多くの影響を受け、感じ、学び、成長しているかということ。特に子どもが飛躍的に成長する時期に「何を見ているか」は、決して軽んじてはいけないのです。
何度も述べている通り、目と脳は 強く結びついていますから、視覚への刺激は脳への刺激でもあります。
いろんな色や形のおもちゃで遊んだり、絵本を読んでもらったり、外で虫を追いかけたり、ボール遊びをしたり……といった子どもらしい経験によって視覚が刺激され、驚くほどの勢いで発達していくのです。脳にある視覚野の発達は、視覚刺激や経験によって形成されます。
赤ちゃんが生後しばらくすると、視覚刺激に反応し、視覚野が発達していきます。この期間に十分な視覚刺激が提供されない場合、視覚野の発達が遅れる可能性があります。脳は生涯にわたって変化し続ける能力を持っています。視覚野も同様に、環境の変化や学習に応じて変化し、適応します。これは神経可塑性(か そ せい)と呼ばれ、視覚野の発達に重要な役割を果たします。
そんな時期に子どもがスマホ漬けになっていたら、どうでしょうか。
たしかに、スマホを通して見る映像や画像も刺激の一つです。ですから決してスマホを見せてはいけないわけではないのですが、だんだんとスマホに頼る時間が増え、子どもがスマホに依存してしまうような事態になると大問題です。