白石和彌監督最新作であり、初の時代劇「碁盤斬り」に主演している草なぎ剛さん。役を演じるうえでの“恐れ”、そして自身が感じる“成長”について語った。AERA 2024年5月20日号より。
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――映画「碁盤斬り」では、草なぎ剛の怒りを内に秘めた、抑えた演技が光る。碁を打つ手、その佇まいに魅了されるが、役づくりについて「監督とはとくに何も話していないですよ」と、拍子抜けするほど飄々と答えた。
草なぎ剛(以下、草なぎ):やっぱり、白石監督がすごいから。衣装合わせの段階から、実際に照明を組み、写真を撮って。その段階で、監督のイメージができ上がっているんでしょうね。そのうえで、僕なりに楽しくやってみる、という感じで演じていました。白石監督の映画「凪待ち」に(香取)慎吾ちゃんが主演していて、慎吾ちゃんと監督は友達のような関係性を築いていたから、僕も安心して現場に臨むことができた。白石監督からも「剛君のことは、慎吾君から聞いているよ」と言ってもらえて。改まって話し合うことはなくとも、通じ合えていたから演じることができたのかな、と思いますね。
――どんな役を演じても、想像を超えてくる。だが、自身を「役者」とカテゴライズすることはないという。「自分は役者だ」と縛っていないからこそ、できることがあるのかもしれない。
草なぎ:それはあるかもしれないですね。色々やっているからこそ、役を演じるうえでのヒントになっていく。そう感じることはありますね。たとえば、ステージでギターを弾く緊張感があるから、そうした感覚が役を演じるときのヒントにもなる。若い頃からそんな環境にいたこともあって、「むしろ演技だけやっているのってつらくない?」と思うこともあるんです。両方やっているからいいんじゃないですかね。