地に足をつけて現場に

――自身が「成長」を実感する瞬間は、どんなときなのか。

草なぎ:作品が出来上がり、その作品にちゃんと集中し、「乗り切れたな」と自分で思えたときかな。「もう少し、ああすれば良かった」「もっとできたな」と思うことはあっても、「最後まで演じ切ることができた」「自分が持っているエネルギーを最大限出し切った」という感覚は、自分でなんとなくわかる。現場でそうした経験を重ねていると、自信にもなっていく。人様が見てどう思うかは、僕にはわからないけれど、それでも自分で「満足した」と思えたときは、成長を感じることができる。

――映画「碁盤斬り」は京都の撮影所で撮影を行った。照明、衣装スタッフら多くのプロフェッショナルに囲まれた現場だった。

草なぎ:20代の頃、初めて時代劇の撮影に参加した時は、監督、技術スタッフさんに対して厳しいイメージもあって。怖くて、毎日ブルブル震えていたことを思い出しました。その頃の自分と比べると、いまの僕は地に足をつけて現場に立てている。プロフェッショナルな皆さんが働く現場の一部になれた自分が誇らしく思えたりもしました。「主役」という一つの駒となって動いている自分を客観視して「いいね、つよちゃん」なんて思ったね(笑)。

――演技を始めた頃に出会った先輩役者たちとの再会にも心が躍った。

草なぎ:今回、共演した小泉今日子さん、市村正親さんとは、若い頃に共演していて。とくに小泉さんが中井貴一さんと主演されていたドラマ「まだ恋は始まらない」に僕も小さな役で出演させてもらったときのことを思い出し、グッときました。

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