親としては、特に母親は、お腹の中にいる時からわが子のことを常に考え、心配し、世話をしてきているので、子どものことは全部わかっていると思いがちですし、そう思いたいという気持ちもあるかもしれません。ですが、子どもたちは成長の過程でたくさんの人に出会い、いろんな影響を受けて、だんだんとその子なりの意思や価値観が生まれていきます。このことは、将来自立した大人になるためにとても大事なことなのです。

 子どもの考えていることがわからなくなると不安になる気持ちもわかりますし、コントロールしたい気持ちもわかります。でも、自転車に乗れるようになったとき、途中まで添えていた手を最後には離したように、子育ても次第に手を離していく必要があります。手を離しても、転んでも自分で起き上がれるようになるまでが、後方から「大丈夫、あなたならできるからね」と信じて見守っていけばいいんです。

 子どもの考えていることがわからなくなってきたら、その日を「記念日」に設定し、日記に成長の証を残すくらいの気持ちで、ゆったりと構えてみるのもいいのではないかと思います。

 あなたもそういう年齢になったのね。あなたの意思があるものね。今までみたいにママになんでも話すことは、この先は少なくなるかもしれないけれど、自分一人や友達に話して解決できない時はいつでも聞くからね。応援してるよ。

 こう伝えてあげると、子どもは安心します。そして、親という存在をいざとなった時の切り札として、お守りのようにして生活していけるようになるのです。心の安定感があると自己肯定感も上がっていきますから、親子関係も変わっていきます。

 次回は6月4日配信。不登校の原因が「無気力・不安」って本当なの?をテーマにお話し致します。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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