正常な視野
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スマホアイ

 スマホを使いすぎる弊害は、目の疲れや視力低下だけではない。眼球運動が鈍り、視野が狭まり…。その先は運動能力や学習能力にも影響するのだという。その怖さを眼科医・松岡俊行氏が解き明かす。著書『スマホアイ』(アスコム)から一部を抜粋してお届けする。

【写真】子どものスマホ依存問題にこの人が回答する

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 0歳にスマホ?

 あなたはスマホが手元からなくなったら何日耐えられますか?

 ある調査では、1日も耐えられないと答えた人は、30代以下の女性で50%を超えたそうです。

 言うまでもなく、スマートフォン(スマホ)の登場は、私たちのライフスタイルを大きく変えました。今や電話やメール、カメラ撮影に加えて動画や音楽の視聴にSNSやチャット、さらには読書やゲーム、調べ物にお買い物などなど、さまざまなことが、 どこにいてもたった1台の端末で行えます。

 また、子育てしている親世代にとっても、その存在はありがたいものでしょう。家事で手が離せないときや、外出先で子どもが泣き止まずに困ったとき、また在宅で仕事をしている際に静かにしてほしいときなど、誰もがスマホの存在に頼ったことがあるのではないでしょうか。ちなみに、東京大学大学院情報学環の橋元良明教授(情報社会心理学)の研究室が、0歳から6歳の第1子を育てる母親を対象に実施した調査では、0歳児を育てる母親の34・9%が、子どもにスマホに触らせたことがあると回答。1歳児以降では6割を超えているというから、驚きです。

 便利を超えた、なくてはならないアイテム。それがスマホです。

 ただ、そのスマホが、子どもたちの目に、もっといえば子どもたちの将来に恐ろしい影響を与えているとしたら、あなたはどうしますか?
 

 「スマホ用の目」3つの特徴

 スマホに頼れば頼るほど、私たちの「目」はストレスを受け続けることになります。たとえばみなさんが、スマホを使用しているとき、目と端末の距離がどれぐらいあるか、ぱっとは答えられない人がほとんどではないでしょうか?

 私たちがスマホを利用する際、目と端末との距離はおよそ20センチほどしか離れていません。さらに、1時間以上そのような状態でいることも珍しくはありませんよね。もちろん、この状態は目にとって決していいことではありません。

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松岡俊行

松岡俊行

松岡 俊行(まつおか・としゆき) 医学博士。眼科専門医。 大阪市出身。京都大学医学部医学科卒。2019年、大阪府吹田市に江坂まつおか眼科を開業。スマートフォンによる子どもの視力低下や、眼球運動、両眼視機能への悪影響などを懸念し「スマホアイ」と称して警鐘を鳴らす。

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スマホ用の目とは、どんな目?