宮城県の朴島(ほおじま)の写真(塩竃市のホームページより)

 佐藤さんがそもそも無人島の販売を始めたのは、20年以上前にさかのぼる。欧米のように、個人でも島を取引できるような文化を日本に根づかせたかったためだという。米国へ留学していた頃、現地の雑誌に載っていた海外の無人島販売会社の記事が目にとまり、その後、その会社の門をたたいて代理店になった。

手間を考えると決して儲かるものではない

 佐藤さんは言う。

「お客さんに喜んでもらいたいのはもちろんですが、自分自身でも楽しみたいという気持ちも強い。お金の面だけで言えば、割に合わない部分があるかもしれません。例えば、無人島の売買でも、仲介手数料は通常の不動産と同じルールです。調査や調整などの手間を考えると決して儲かるものではありません」

 佐藤さんは無人島の取引仲介のほかにも、「スマイル・エア・インク」という会社を通じて南洋諸島パラオで観光客向けに遊覧飛行事業なども手がけている。セスナを使って美しい南国の海や島々を巡れるツアーだ。レジャーや観光事業に対する思い入れは深い。

「パラオでは欧米人を中心に観光需要が回復しています。コロナ禍では観光客そのものが減りました。日本人の出足が鈍る最近の円安も痛手ですが、日系資本による大型ホテルの建設計画も進んでいますので、日本人にもぜひ足を運んでほしいですね」(佐藤さん)

 無人島の販売でも、前述したような条件に合う物件が徐々に出始めるようになってきた。停止していたホームページも、近く再開しようと考えているという。

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島の面積は約600坪で、価格は4300万円