佐藤さんが言う。
「ホームページを閉じたのは、私自身で考える『条件』に合うような物件が手元にほぼなくなってしまったことが大きい」
佐藤さんが手がける無人島の「条件」は、主に本土や最寄りの港などから船で30分以内の場所にある、島に船がつけられたり人が生活できたりするような平地がある、もともとの所有者の権利関係が複雑でないといったものだ。
地元の漁業関係者との調整も
陸地から遠すぎたり平地がなかったりすると家屋など島を利用するのに必要なインフラを整備するための資材を運ぶことができない。権利関係が複雑だと、取引をまとめるのに難儀する。さらに島に畑や田んぼなど農地があったり、島自体が国立公園や自然公園の中にあったりすれば国や自治体の許可が必要なこともある。釣りを楽しんだり、島との行き来をスムーズに行ったりしたい場合は、地元の漁業関係者との調整も必要だ。
国土地理院によると、日本には有人、無人島を合わせ、周りが海に囲まれた、全周0.1キロ以上の自然にできた島は1万4125ある。しかし佐藤さんによれば、こうした条件に合う物件は非常に限られるという。
「物件自体が少ないこともあり、安くても数千万円はします。しかも、金融機関のローンがつかないため現金の一括払いが基本。特に最近は数十億円単位の物件しか市場に出なくなっていました。高額の物件はホームページにアップしても、引き合いがあるのは中国人など海外の富裕層ばかり。日本人に楽しんでもらえないのだったら張り合いがなくなってしまう。そうしたこともホームページを閉じた理由の一つです」