4月30日、自民党の衆院3補選全敗などに関して、取材に応じる岸田文雄首相

 自民党派閥の裏金問題に対する国民の不信感、暮らし向きの不満が衆院3補選の結果に表れた。特に「自民王国」の島根では異例の展開を見せた。AERA 2024年5月20日号より。

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 大型連休中、岸田首相はフランス、ブラジル、パラグアイ各国を訪問。パリではマクロン大統領と会談し、自衛隊とフランス軍との訓練を進めるための「円滑化協定」を締結することで合意。ブラジルではグローバルサウスとの関係強化を訴えて「外交の岸田」をアピールした。

真相見えず不信感

 それでも、政権の勢いは回復しない。裏金問題に対し、国民が二重の不信感を抱いているからだ。第一に、多くの国民は、自分たちは正直に所得を申告して税金を払っているのに、政治家の裏金が「政治活動という口実で非課税になっているのは納得できない」と怒っている。

 第二に、裏金問題が発覚しても安倍派の幹部らは「記憶にない」「秘書に任せていた」などと繰り返し、正直に経緯を話そうとしない。自民党を率いる岸田首相も真相解明に切り込まず、関係議員の処分も甘すぎる。そうした不信感が広がり、内閣支持率は20%台で低迷している。

 暮らし向きの不安も政権批判につながっている。歴史的な水準で円安が進み、物価高が止まらない。少子化対策として、「国民1人当たり毎月450円程度」の負担となる支援金制度を導入するが、実際には共働き世帯なら、社会保険料の増額は月2千円を超えそうだ。株で儲ける富裕層と低所得者との格差は拡大し続けている。

 そうした根深い不満が選挙結果に表れた。4月28日に投開票された衆院3選挙区の補欠選挙では自民党が東京15区と長崎3区で候補者を擁立できずに「不戦敗」。候補者を立てた島根1区では惨敗した。立憲民主党は3選挙区で勝利し、党勢を拡大した。

 東京15区と長崎3区では、維新が公認候補を擁立したが、立憲民主党の候補には及ばずに惨敗。関西圏以外での力不足が目立った。東京15区では小池百合子都知事が乙武候補を推したが、5位にとどまり、小池氏の影響力の低下を示した。

「自民王国」でも惨敗

 与野党一騎打ちとなった島根1区は、異例の展開となった。

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