柱であることを否定する義勇
優れた戦闘力、多彩な技、判断力の高さなど、冨岡義勇の実力は誰の目から見ても明らかである。しかし、彼自身は自分のことを“低く”評価していた。
「俺は水柱じゃない」(冨岡義勇/15巻・第130話「居場所」)
かねて義勇は、自分は水柱としての資格に欠けていると悩んでおり、入隊試験「最終選別」の際に他の隊士から助けられたこと、その人物が義勇らをかばったために命を落としたことがつらい記憶となっている。
鬼殺隊総領・産屋敷耀哉も「どうしても独りで後ろを向いてしまう」と義勇を心配しているのだが、義勇はかたくななままだった。
「俺は水柱になっていい人間じゃない そもそも柱たちと対等に肩を並べていい人間ですらない 俺は彼らとは違う」(冨岡義勇/15巻・第130話「居場所」)
他の柱たちに促されても、炭治郎から頼まれても、なかなか柱稽古に参加しようとしない。
一方で、蟲柱・胡蝶(こちょう)しのぶもまた「柱稽古に参加しない」という決意を固めていた。継子の栗花落(つゆり)カナヲから、「私もっと師範と稽古がしたいです」と告げられて、めずらしくはにかんだようにほほ笑みつつも、その意志を曲げることはなかった。しのぶは他の隊士たちにも秘密裏のうちに、ある上弦の鬼を倒すための過酷な計画を立てていたのだった。
「私の姉カナエを殺した その鬼の殺し方について 話しておきましょう」(胡蝶しのぶ/15巻・第131話「来訪者」)