報道では、日米の政策金利差の影響で、低金利の円の魅力が落ちて円安になると解説されることが多いが…

 とはいえ、加工貿易を得意としてきた日本にとって円安による好影響はまだ大きいのも事実です。円安によるメリットを受けやすい大企業が潤い、そこで働く人の給与もアップし、内需企業で働く人の給与もアップ、日本経済全体で潤う……という好循環が起きてくれたら、生活者目線としても円安ウェルカムになるでしょう。2024年はその正念場とも言われています。

多くの人が何と考えているか

 私を含め多くの方は、どこまで円安が続くのか気になっていると思います。この予想をするためには、為替相場を動かす要因を整理する必要があります。報道の多くでは、日米の政策金利差の影響で、低金利の円の魅力が落ちて円安になると解説されることがあります。これは、半分正しくて、半分間違いだと思います。というのも、経済学における為替理論では、政策金利が下がって通貨安が起こることも、政策金利が低くても通貨高が起こりうることも示されています。実際、1ドル=75円時代を振り返ると、当時の日本の政策金利は、アメリカのそれに比べると低いにもかかわらず、超円高でした。短期の為替相場の予想で重要なのは、その時の為替相場を動かす要因を、多くの人が何と考えているかを予想することです。

 政策金利を重視しているのか、それとも経済的なファンダメンタルなのか……。もちろん、これが簡単に分かれば、誰も苦労しませんし、私も仕事をしていません(笑)。なので、今は政策金利が意識されているかもしれませんが、全く違う要因が意識され始めたら、一気に円安に動いた反動で、1ドル=140円ぐらいまでの円高に進む可能性があるかもしれません。

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