来園する際には紀子さまが、
「そちらに遊びに行っていいですか」
と、電話をかけてきたという。
そして、一般の来園者に混じって歩く親子連れが、実は紀子さまと悠仁さまだと気づく人はいない。悠仁さまも、年が近い幼稚園や保育園の子どもたちの集団の中に入り、一緒に動物を眺めていたという。
「サル山に入って一緒に遊びたい」
あるとき、悠仁さまが、
「サル山に入って僕も一緒に遊びたい。えさをあげたい」
と、駄々をこねたこともあった。
「ここは入れないのよ」
紀子さまが優しく説明して、なんとか大人しくなったという。
子どもはみんな、好奇心が旺盛。小宮さんが「かわいらしかった」と目を細めるのは、悠仁さまがトラを見たいと言い出したときだ。
紀子さまの手をしっかりと握って、
「とーら。とーら」
と歌いながら、トラの放飼場(ほうしじょう)まで歩いていった。なのに、到着すると本物のトラよりも目の前にあるトラのレプリカが気に入ったのか、よじ登りはじめた。
トラの背中にまたがって、ニッコリと満足そうな笑顔を浮かべる悠仁さまに、紀子さまがカメラを向けて記念写真を撮ったという。
皇室が生き物との触れ合いを大切にするのは、身近な環境が大きいのだろう。
東京の中心地にありながら、緑に包まれた赤坂御用地は、東京ドーム10個分の広さがあり、天皇ご一家も長い歳月を過ごし、いまは上皇ご夫妻が暮らす仙洞御所、皇族が暮らす秋篠宮邸や三笠宮邸、そして高円宮邸がある。季節の花々のほかに、オオタカやフクロウの繁殖が確認されるなど、生き物の宝庫でもある。