本連載の書籍化第5弾!『鴻上尚史のおっとどっこいほがらか人生相談』(朝日新聞出版)

【鴻上さんの答え】

 ふゆかさん。苦労してますね。

 なんでも否定形で始める人、いますよね。

 悪人なのではなく、「自分にうんと自信がある」か「自分にうんと自信がない」人なんじゃないかと思います。

 ふゆかさんの夫は、「政治、経済、時事問題、色んなことを勉強していて、読書家で博識」ですから、やっぱり、「自分にうんと自信がある」人でしょうね。

 ふゆかさんが、爆発した時に「話の腰を折ったつもりもない」と言ったのは、夫の正直な気持ちだと思います。話の腰を折ったわけではなく、間違ったことを訂正しただけだと思っているんじゃないでしょうか。「そんなに偉い訳が無い」「そんなに正しくもないし法律なわけもない」けれど、君が間違ったことを言った時は、ちゃんと間違っていると言おうと思っているんじゃないでしょうか。

 大切なことは、「会話をキャッチボールすること」ではなく「正しいことを発言すること」だと考えているのでしょう。

 それは、「相手の立場に立つ」という発想が欠如しているということです。

「自分が喜ぶこと」は、間違った発言を訂正すること。相手もまた、「間違いを訂正されたら、喜ぶだろう」と思っているのでしょう。

 夫は偏差値の高い大学を出ていますか? エリートですかね? 出会った時から、否定形から始める人だったのですから、夫の親がそういう人だったのかもしれないですね。

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