「僕にとって俳優の仕事は生きるための手段。1年、2年で(人気を)競い合ってもしょうがない。70年間ご飯を食べられたヤツの勝ちなんだと思う」(若葉)(撮影/植田真紗美)
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 カンテレ・フジテレビ系ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」(月曜午後10時)に出演中の若葉竜也(34)の演技が注目を集めている。初回が放送された4月15 日には、X(旧Twitter)で「#アンメット」が世界トレンド1位を獲得。とくに、変わり者の脳外科医・三瓶を演じる若葉についての書き込みが目立ち、「若葉竜也」「三瓶友治」がXのトレンド上位に並んだ。その後もドラマ放映のたびに話題を呼んでいる。本人へのインタビューと周囲の証言で若葉の人物像に迫ったAERA 2023年12月11日号「現代の肖像」で、オンライン配信されていない記事後半部分を初公開する。

【写真】力強い眼差しの若葉竜也さん

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 大衆演劇一座に生まれ、1歳3カ月から舞台に立ってきた。物心ついたときから芝居をするのが当たり前だったと若葉は言う。小学生になると大衆演劇に加え、テレビドラマにも出演。だが、演技をおもしろいとは思えず「早く撮影が終わればいいのに」と願うばかり。そんな14歳のとき、最初の転機が訪れた。映画「4TEEN」での芝居を機に、映画への興味が湧いてきた。自宅から自転車を飛ばし、吉祥寺バウスシアターに通い、映画を観るようになる。

《以下、記事後編》

 特に俳優の田口トモロヲが初監督した「アイデン&ティティ」に衝撃を受けた。ぼそぼそとゆるい会話と空気で進む若者たちの青春譚(せいしゅんたん)。わかりやすい芝居を求められる大衆演劇へのアンチテーゼもあったのかもしれない。「この先、もし役者を続けることがあれば、こんな映画を作りたい」と思った。

 しかし、その思いはなかなか通じない。

「4TEEN」をきっかけに学園ドラマへの出演依頼が増えた。だが若葉はここでも違和感を持ちはじめる。普通の若者を演じようと、オーディションでボソボソと話すと「もっとわかりやすく話して!」と怒られる。「才能ない、やめたほうがいい」と罵倒されることもしばしば。しかし事務所は「売れれば好きなようにできる。まずは売れよう」とプッシュし続ける。ドラマの主演が決まっても「自分は適材じゃない」という感覚に襲われて降板した。すべてに対し反抗的になっていた。

「作品が悪いわけじゃない。街で声をかけてくれる人にも申し訳ないと思いながら、どんどん態度が悪くなってしまって」

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