次に、フランスからも日本に参考になるニュースが入ってきた。

 4月24日朝のNHK・BS「ワールドニュース」で放送された「フランス2」は、フランス海軍が、原子力空母シャルル・ド・ゴールをNATO艦隊へ編入しNATO軍傘下で活動していることを報じた(もちろん、一定期間に限定された話だ)。司令官は米軍人である。

 英国と違い、フランスは、外交安全保障政策において、米国とは一線を画すという立場をとることで有名だ。欧州主要国の中では最も米国から遠い同盟国と言っても良いだろう。何しろ、ド・ゴール大統領時代の1966年には、NATOが米国の過剰な影響力下にあることなどを問題視して、NATOの軍事部門から脱退し、その後2009年に完全復帰するまで、米国の軍事的影響を極力排除する姿勢を明確にしていたくらいだ。 

 そのフランスでさえ、ロシアの脅威に対抗するという名目を唱えれば、これまでタブーとされてきたことも乗り越えて、軍事面での米国との一体化の道を拒めなくなったのだ。

 これは、「中国の脅威」さえ唱えれば、なんでも通るという日本での最近の風潮と重なる面がある。

 フランスの空母が米国の司令官の下で活動するというニュースを聞いて、私が思い出したのは、これでもかと米国への擦り寄りを見せた岸田首相の米議会演説の中で触れられなかった話があることだった。

 それは、戦時になれば、自衛隊が米軍傘下に入るという話だ。

 自衛隊の最高指揮官は岸田首相だ。自衛隊が米軍の下に置かれるということは、日本がアメリカ政府の下に置かれるというのと事実上同じことで、対等な国同士ではあり得ない話のように思える。

 しかし、戦争になったら、指揮命令系統が二つでは混乱して戦えない。

 例えば、朝鮮戦争の時は、韓国軍は米軍の下に入って米軍の指揮下で戦った。今は休戦中だが、北朝鮮と戦争が始まれば、再び、韓国軍が米軍の司令官の下で戦うことになる。

 台湾有事で日本が米中戦争に参戦する場合、陸・海・空の自衛隊は一体となって戦う必要がある。

 ところが、日本には、陸海空を束ねる統合幕僚長というのはいるが、これは防衛相を補佐する役割しか持っていない。全体を束ねる指揮命令系統上の司令官はいない。

 一方、在日米軍の指揮を執るのは、インド太平洋地域を担当する統合軍のヘッド、インド太平洋軍司令官だが、現状では、戦時にこのインド太平洋軍司令官のカウンターパートが自衛隊側にいないという状況にある。

 そこで、まず、日本側が陸海空の自衛隊、さらにサイバー、宇宙までを統合した「統合作戦司令部」を作ることになった。24年度中に240人体制で市谷に置かれる見通しだ。

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