ただし、日米首脳の共同声明では、このことに抽象的に触れている。
「我々は、作戦および能力のシームレスな統合を可能にし、平時および有事における自衛隊と米軍との間の相互運用性および計画策定の強化を可能にするため、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を表明する」というくだりだ。
本当は、戦時における二国間の指揮・統制の統一と書きたかったのだろうが、そう書くと、必ず、どちらが上に立つのかということになるので、とりあえず、日米両国の指揮命令系統をそれぞれ整備するという完全な一本化の一つ前の段階までにとどめたのだ。
共同声明には書かれていないが、実際には、指揮命令系統の「統一」の話は避けて通れない。当然話し合われたはずだ。
そして、その話をしてバイデン大統領を喜ばせるために岸田首相が何と言ったか、と考えると、「いざ戦争となれば米軍傘下に入ります」と約束したに違いないと私は見ている。そうでなければ、あそこまでアメリカに擦り寄った意味がなくなってしまうからだ。
英国や欧州で進む国防費拡大や社会保障費切り下げのニュースと、英国を超えて米国の最も近い同盟国になった日本。
タブーを破って米軍人司令官傘下で空母が活動することを認めたフランスと、米国との指揮命令系統統一の準備を進める日本。
英仏両国から届いた二つのニュースは、岸田日本が進む道を予言しているように見えるのだが、いかがだろうか。