
20代は「今とは全くの別人」
今でこそこう語る金田さんだが、「20代のときにはこんな考え方、絶対にできなかった」と笑う。
「『俺は芸人だし、それ以外のことはやりたくねぇ』って変なプライドがありました。吉本(興業)が、神保町花月(現・神保町よしもと漫才劇場)っていう芝居の劇場を立ち上げたときにメンバーに選ばれたんですけど、そのときはめっちゃキレてました。『なんで、お笑いの世界入ったのに芝居なんかやるんだ!』って。でも結果的に、それが今につながっているんですけどね。当時は本当に凝り固まってて、芸人たるものこうでなくちゃいけないっていう固定観念の塊だったんです。お笑いの世界に入った以上、24時間365日、お笑いのことを考えなきゃダメだって本当に思い込んじゃってて。めちゃくちゃ生意気でとがってましたね。今とは全くの別人です」
金田さんは当時の自身のことを「激イタな人です」と自虐的に言う。
「『よしもと男前ランキング』っていうのがあったんですけど、『笑いにカッコよさなんていらねぇ』って、わざと髪形を変えたり、変なメークしたりしてました。イケメンって言われるのがめっちゃ嫌いだったんです。なので、自分を見て、『キャー!』って歓声を上げているお客さんに対して、本気のトーンで『やめて』って言ってました。それはなぜかというと、自分の理想とする芸人さんになりたいから。そのときの自分って、お笑い芸人を演じなきゃいけないって必死になっていた部分もあって、その葛藤もありましたね」
金田さんがブレークしていた2008年ごろは、芸人の主戦場はテレビだった。しかし、時代が進むにつれて、YouTubeなどに活躍の場が広がってくると、芸能界を取り巻く環境は劇的に変化した。金田さんは言う。