そんな疑問に対する答えが明らかになったのが、12年10月18日のセ・リーグCSファイナルステージ、巨人中日の第2戦だった。

 巨人の先発・ホールトンは1回、先頭の大島公平を投ゴロに打ち取ったが、ボールがグラブの網の部分に引っ掛かり、なかなか抜けない。このままでは内野安打になってしまう。

 そこで、ホールトンは一か八かでグラブごと一塁手の亀井善行目がけて、「エイヤーッ!」と放り投げた。

 タイミングはアウトだったが、橘高淳一塁塁審は「セーフ!」をコールした。

 その理由は、亀井が投げつけられたグラブを脇の下に抱える形になったため、「正規の捕球」と見なされなかったのだ。

「野手が、インフライトの打球、投球または送球を、手またはグラブでしっかりと受け止め、かつそれを確実につかむ行為であって、帽子、プロテクター、ユニフォームのポケットまたは他の部分で受け止めた場合は捕球とはならない」(野球規則2.15)。

 もし亀井が手、またはグラブでしっかりキャッチしていれば、判定はアウトになっていたはずだ。

 ちなみに15年6月7日のDeNA対西武でも、3回にDeNA・飛雄馬の一、二塁間の打球を処理したメヒアが同様のシチュエーションからファーストミットごとトスしたが、一塁ベース手前でボールとミットが空中分解。こぼれ落ちたボールは本塁方向に転がっていったため、セーフになった。

 また、13年7月24日のヤクルト阪神では、2回1死、西岡剛の投ゴロを処理したヤクルト・八木亮祐がグラブごと一塁に送球したところ、畠山和洋がグラブの中のボールを右手で掴むようにしてキャッチ。見事アウトを成立させている。

 ルールでは認められていても、実際に成功させるのは、なかなか難しいようだ。

 振り逃げというと、空振り三振に倒れた打者のみに適用されると思われがちだが、実はさにあらず。

 21年4月11日の楽天ソフトバンクでは、思わずビックリの見逃し三振による振り逃げが成立しかける珍事が起きた。

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珍しい“振り逃げ” どんなシチュエーションだった?