……と、ここまで書いたとき、パパ活相手の男性数名からお金をだましとったとされる「頂き女子りりちゃん」に、9年の懲役と800万円の罰金が科された1審の実刑判決のニュースが流れてきて、書く手が止まってしまった。9年は重すぎるだろう!と衝撃を受けたのは、性犯罪とどうしたって比べてしまうからだ。2019年にフラワーデモのきっかけとなった娘を性虐待してきた父親の確定判決は10年の懲役である。同じくフラワーデモのきっかけとなった事件で、初対面の女性にテキーラを飲ませ意識をほぼ失わせた状態でレイプした男は1審で無罪、2審で4年の懲役(確定)だった。これは2年前の裁判だが、勤務先の保育園で2〜4歳の子に性暴行した当時25歳の保育士の男の1審判決は懲役7年だ。
ちなみに昨年言い渡された、30人の男女から1.1億円を奪ったとされる(実際は60人から4億円とも言われている)国際詐欺で逮捕された日本人の男の1審判決は懲役10年+200万円の罰金だが、りりちゃんと“似たような詐欺事件”と比べても、りりちゃんが受けた罪は重い。
りりちゃんと男性たちとのそもそもの出会いは、男は金にモノを言わせ女は若さにモノを言わせるパパ活市場であった。そこにたどりつくまで、りりちゃんは、女の子にとって安全とは言えない社会で生き抜いてきた子供であった。「頂き女子りりちゃん」を育てたのは、女を徹底的に商品にしてきたこの社会でもある。
倫理なきエロはありとあらゆる方法で公共を侵食し社会の価値を溶かしていくのだろう。女を徹底的にモノ化する一方で、男に牙を剥く女は徹底的に制裁していくのだろう。そんな勝ち目のない罰ゲームのような闘いに、女はいつまで付き合わされなければならないのだろう。