イラスト:サヲリブラウン

 30代の女性が言いました。「パートナーも私も子どもが欲しいと思っていないので結婚する理由が見当たらない」と。40歳以上のメンバーは「手術を受ける際に家族の同意が必要な場合もあるけどね……」などと答えつつも、誰一人結婚しておらず、後悔もしていないので声が弱々しい。説得力がありません。しかし、「結婚しなくたっていいよ!」と力強く肯定もできない。いま楽しくても、この先どうなるか、わからないからです。

 先日、父親が入院しました。命に別条のない手術でしたが、80代半ばを過ぎて、私がこれを誰の助けも借りずにやるのは難しいとも思いました。今更ながら、私設セーフティーネットの必要性を感じました。

 これからの超高齢化社会、行政がいま以上に高齢者を手厚くケアできるとは思えません。子どもがいても、介護を押し付けるのは無理な話。

 公助なき互助は言語道断なれど、旧来型の家族とは異なる互助システムを考えないと、社会が立ち行かなくなるのは必然。テクノロジーが解決する場面もありそうですが、心許なく感じてしまうのも事実。

 独身の友人が集まって住めるホームがあればいいけれど、かなりお金がかかりそう。さあ、どうしたものか。まだ人生は折り返したばかり……。

AERA 2024年4月29日-5月6日合併号

著者プロフィールを見る
ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

ジェーン・スーの記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
【7/16(火)・17(水)開催 Amazonプライムデー】先行セール商品一部公開中!年に一度の大型セールで何が安くなる?