眼中にない
経済評論家の斎藤満さんは、政府がこうしたちぐはぐな方針を示すのは「経済の論理や国民の生活なんて、最初から眼中にないからだ」と批判する。
「岸田政権が声の大きな団体や大企業寄りの姿勢を取るのは、自分にとって得かどうか、自身のポストを維持する上でプラスかどうかを基準に置いているためです。そのため物価高対策は本来、国民のための対策であるべきはずなのに、企業にばかり目が向いている。ガソリンにかかる揮発油税を一時的に引き下げる『トリガー条項』を凍結解除する手もあるのに、財務省の顔色をうかがって、それもできない。今回の姿勢には誰のために政治をやっているかがはっきりと表れています」
そのうえで「本気で物価高対策を考えるなら、金融政策を正常化して円安に歯止めをかけるべきだ」と指摘する。ドル・円相場は18日時点で1ドル=154円台半ばで推移し、約34年ぶりの円安・ドル高の水準が続いている。斎藤さんは言う。
「日本銀行が3月にマイナス金利を解除したと言っても、政策金利を0.1%程度引き上げただけで、米国との金利差は広がったまま。円安を解消するため為替介入に踏み切ったとしても、効果は一時的なものに限られるでしょう。緩和策によって円安が続いていれば企業に対してはいい顔はできるでしょうが、原油をはじめ輸入品の値上がりを通じて物価を押し上げ、家計を圧迫します。正常化を急ぐべきです」
(AERAdot.編集部・池田正史)