(右)りな・さわやま:1990年、新潟県生まれ。シンガー・ソングライター、ファッションモデル、俳優。英ケンブリッジ大学在学中に音楽活動を開始。レディー・ガガやエルトン・ジョンらとコラボするなど世界的に活躍/(左)ちゃんみな:1998年、韓国生まれ。日本と米国で育つ。日・韓・英の3カ国語を操るトリリンガルラッパー、シンガー、アーティスト。作詞作曲やトラック制作、振り付けなど全てを行う。4月26日には、最新シングル「FORGIVE ME」をリリース(撮影/写真映像部・上田泰世)
この記事の写真をすべて見る

 海外を拠点に活躍するZ世代のカリスマ、リナ・サワヤマとちゃんみな。LGBT当事者が自分らしく生きられる社会のために積極的に発信している。AERA 2024年4月22日号より。

【写真】この記事の写真をもっと見る

*  *  *

──リナ・サワヤマさんの「This Hell」が昨年の東京レインボープライド(すべての人が自分らしく生きられることを目指すイベント、今年は4月19~21日に代々木公園などで開催)のテーマソングに起用され、ちゃんみなさんもその楽曲に参加され、Spotify Singlesで配信も予定されています。お二人はLGBTの権利擁護に積極的に取り組んでいますが、活動する上で外国と日本との違いを感じるのはどんなことでしょう。

リナ(以下、リ):まず思うのは「LGBT」とアルファベットで表記していることもあってか、日本だと「海外・外国のこと」であって、(自分たちとは)あまり関係ないのではないかと考えているように感じます。

ちゃんみな(以下、ち):そうだね。一人ひとりの声がどれだけ大きいか、パワーがあるか、を信じていない人が多い。

優しいから声出さない

リ:実際は日本でも何十年も前から潜在的に存在していることですよね。日本では、「あっちのこと」といった対応しかされず、なかなかシリアスに扱われないのが、まず問題だと思っています。

ち:日本では闘う体制に慣れている人があまりいないように感じます。抗議を示す正当な権利であるデモも見ないし。アメリカや韓国ではもっと声に込めるパワーが強い。日本は良くも悪くも優しいから声に出さないのがもったいない。

リ:ロンドンでは、(1980年代に同性愛者への誤解や偏見が増幅した)「エイズクライシス」がありました。その際にLGBTヘイトが起こり、そのひどい状況を乗り越えた人たちが強いアイデンティティーを持ったという経緯があります。

ち:デモしなくたって声を上げる方法はたくさんあると思うんです。たとえば選挙。選挙に行って投票することで自分が望む方向にいってないことへ声をあげる。自分が信じていることへの信頼度、責任感が高まれば、もっと意思表示することに積極的になれるんじゃないかと思うんです。責任感を持つことで、社会を変えることができるんですから。

次のページ