「地産地消型」の魅力
古着と聞くと「誰が着たかわからない」「においが気になる」と抵抗感を覚える人も多いだろうが、その点も改善傾向にある。
「以前は、たとえばデニムやスニーカーを中心に扱っているところは古着特有のにおいがきつく、入店後すぐに出てしまうような店舗も多かった。ただここ最近は、仕入れから店頭に出すまでの間のケアはどこも徹底的にやっています。古着の風合いを失わぬよう手もみで洗い、靴であれば靴紐も外してブラッシングするなど、アナログな部分はありますが、クリーンな状態で店頭に出すという環境づくりは年々進んでいます」(同)
総合リユースショップ・セカンドストリートの存在も古着ブームを後押ししている。3月末現在、国内839店舗を中心に900店舗超を構え、着実に店舗数を拡大。一般的な古着屋の「買い付け型」ではなく、その土地に住む人たちが売りに持ち込んだものを販売する「地産地消型」で、各店舗で品ぞろえの趣向が異なるのが魅力でもある。
親会社のゲオホールディングス広報担当の高橋加菜子さんは言う。
「近年、SDGsの考えが広まって、物を捨てずに再利用しようという意識の高まりから、客足が伸びています。加えて、Z世代など若い世代の衣服への関心が、ファストファッションから自分らしさや個性を重視する方向へ移っているように感じます。より自分に合う服装をと考えたときに古着という選択肢があり、ニーズが高まっているのだと考えています」
同社は店舗の内装にも工夫をこらす。かつての古着屋といえば、薄暗く閉鎖的な空間が一般的なイメージではなかろうか。
「そうした印象を払拭するために、店内の内装は白や木目調を基調に柔らかい雰囲気になるよう意識していますし、通路幅も広く取るようにしています。先入観なく気軽に入っていただけるよう、配置には工夫していて、最近では女性客も増えてきています」(高橋さん)
コロナ禍で「無人販売」
2029年までに国内1千店舗達成を目指す同社は、古着がより身近にライフスタイルの一つとして定着することを望む。
「気軽にふらっと立ち寄るコンビニのように、服買いたいな、セカストに行こうと思われる存在が理想です。店舗数の拡大含め、お客様との接点を増やすことが必須だと考えています」(同)