まずは、持家と賃貸ではどうだろう。ここでの賃貸は民間の物件から、UR(都市整備機構)や公営住宅や社宅を含んでおり、持家以外すべてを指す。持家の平均余命が25.1年で平均寿命が87.1歳に対して、賃貸は21.8年の83.8歳となり、賃貸は3.3年寿命が短くなる。つまり、賃貸だと13%短命になるのだ。
「寒さ」は寿命に影響大
日本の居間はとにかく寒い
寿命に影響している一因として、家の寒さがある。「冷えは万病のもと」と言われるように、人間は寒さに弱い。日本では、冬場(12月~2月)に亡くなる確率はそれ以外の季節の118%にもなる。冬の死亡率を他の季節並みにすれば、84歳の寿命が6年延びる計算になる。
厚生労働省の調べで、ヒートショックによる死亡者数は年間1.9万人に及ぶと推計されている。その当時の死亡者数の約1.5%に相当し、冬場の風呂場で高齢者が発症し、帰らぬ人になることが多い。
発症のメカニズムは、他の部屋よりかなり寒い風呂場で裸になり、熱いお風呂に入ることで、血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすというものだ。予防法としては、脱衣所や風呂場と他の部屋との気温差を小さく保つことだ。このヒートショックをなくすだけでも、高齢者は寿命を3年ほど延ばすことができる計算になる。
WHO(世界保健機関)は2018年に、冬場の室温を18度以上に保つことを強く勧告している。冬場の室温が健康と寿命に影響するからだ。イギリスでは、冬の健康的な室温は21度で、最低基準は18度と定められている。先進国では、おおむねこの基準が室内最低推奨室温となっている。
しかし調べてみると、日本の居間の室温はかなり低い。ヒートショックの発生率が最も高い香川県(東京都健康長寿医療センター研究所)では、平均13.1度(スマートウェルネス住宅等推進調査委員会)で冬場の死亡率が高くなる割合は122.9%(人口動態統計)と、47都道府県でワースト3位となっている。