そんなTwitter上の「手紙(自筆の署名も)」から始まり、一昨年の冬には新たな公式サイト更新、さらにはファンクラブが発足し、そこでようやく私たちは、中森明菜の「近影」なるものを目にしたわけです。黒髪と白い肌だけのモノトーンの写真でした。
その間にも、1980年代に在籍していたワーナーレーベルからの最新リミックス盤やリマスター盤が次々とリイッシュー(再発)され、軒並み売れ行きは絶好調。待望論はますますの盛り上がりを見せる中、ついに昨年、作曲家・林哲司さん11月発売のトリビュートアルバムに「北ウイング」のセルフカバーバージョンが新録として収録されることが発表。「すわ! このまま紅白歌合戦出場か?」などと、下世話な世間も大いに浮き足立ちました。
「手紙→写真→歌唱音源」と来たわけですから、そのまま一気にテレビジョンへと……というのも一理ありますが、明菜さんが打って出た次なる一手は、「ラジオ特番への肉声メッセージ」というものでした。しかも、あろうことか、その番組のパーソナリティは私です……。
かくして、ニッポン放送で生放送された「中森明菜オールタイムリクエスト」という4時間超の番組に、「明菜さんの肉声メッセージ(事前に録音されたもの)」が届いたのが昨年の12月17日。確か冒頭で「ミッツ・マングローブさんには、いつも好意を持っていただき、ありがとうございます」といった内容のメッセージをいただいた記憶があります。
もちろん私は明菜さんとお会いしたこともなければ、喋ったこともありません。ずっとテレビの前で、時には客席や人垣の中から「観ていた側」の人間故に、よもや本人から、こんなふざけた芸名を呼び掛けてもらえる日が来るとは夢にも思わず。人生であれほど狼狽した瞬間はありませんでした。