記者会見する二階派の二階俊博会長(中央)

変わってきた記者の作法やマナー

――記者にとっての“永田町カルチャー”とは、どのような文化ですか?

 シンプルに言うと、オフレコ取材の比重が大きい世界だと思います。記者会見で求めるのはあくまで公式の見解で、会見が終わったあとにぞろぞろと政治家のあとをついていき、「さっきの発言はこういう意味ですよね?」とニュアンスを確認したり、裏にある本音を聞き出したりする。

 そうやってメディアと政治家が作り上げたカルチャーが連綿と続いてきたから、「会見の場で変なことを聞いたせいで、オフでしゃべってもらえなくなったら困る」みたいに考える記者もいるのかもしれません。

 あとは最近の事情として、会見がYouTubeなどの動画サイトで生配信される機会が増えたことで、記者たちが激しい糾弾を自重するようになった面もあると思います。私もかつては、のらりくらりと質問をかわす相手から考えや感情を引き出すために、あえて強めのボールを投げていたこともあります。でも今の時代、記者側の失礼な発言や態度は、世間との不必要な軋轢(あつれき)を生みかねないので、会見時のエチケットにはある程度気を使うことが求められています。

 ただ、お作法やマナーは変わっても、質問の内容やエッセンスを変える必要はありません。丁寧な言葉を使ったとしても、本質を突いた質問は十分できると思います。

――ご自身は、政治家の本音に迫るためにどんなことを心がけていますか?

 スポーツもそうですが、政治は長く担当している記者が絶対的に有利なジャンルです。重鎮の政治家だって、当選したてのころから付き合っていて、自分の苦しい時代も知っている記者には心を開きますよね。

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政治家との阿吽の呼吸