大阪府知事時代の橋下徹氏(2012年)

元大阪府知事・橋下徹氏との違い

 私自身が気になるということは、世間でも関心を持っている人がいるはずです。「不出馬の理由が明確になっていないのに、会見が終わるのはおかしい!」と、記者たちで声をあげて質問を重ねていけなかったことは反省しています。

――物足りない会見の背景には、政治家に対する記者側の忖度(そんたく)もあるのでしょうか?

 いや、会見にはみんな真剣勝負で臨んでいると思うんです。ただ、国政取材に片足をつっこんだばかりの人間から見ると、記者同士で団結して「どういうことですか!」と粘り強く追及するカルチャーは、永田町にはあまりないと感じます。

 私は2017年から21年まで、海外特派員としてパリ支局長を務めていたのですが、フランスは討論の文化がある国なので、ジャーナリストは堂々と聞きたいことを聞き、政治家は質問に対して真摯に向き合う関係性がありました。オフィシャルな取材の場で丁々発止議論して、それを報道することが立派な社会活動として受け入れられていた。

 もちろん日本でも、そういうスタイルを好む政治家はいます。私が大阪の行政担当をしていた当時の橋下徹知事は、会見は記者の質問が尽きるまで応じていたし、逆に自分の主張をアピールする場としても大事にしていました。

 でも今回の二階さんの会見は、わずか12~13分で終わってしまった。何十年と当選を重ねてきた政治家が次の選挙に出ないというのは、地元にとっても自民党にとっても重大な話のはずです。国政取材では時に、「この政治家なんも答えてないやん」「記者もなんも聞いてないやん」と腑に落ちないまま会見が終わってしまうことがあります。

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オフレコ取材の比重が大きい