個人事務所を設立した水川あさみ(写真:2020 TIFF/アフロ)

かつての先輩ほど稼げない

 前述の会社にとどまらず、近年は芸能事務所を取り巻く状況は極めて厳しいものになっているという。

 実際、ここ数年は全盛期には都内の一等地に本社を構えていた芸能事務所が経営のスリム化の一環として事務所のスぺースを狭くしたり、比較的家賃の安い郊外の土地に移転したりするケースも多い。また、人気芸能人の“独立”も後を絶たないが、これも業界の不景気とは無関係ではないという。

「独立の背景には当然、待遇や収入への不満もあります。ひと昔前に比べるとテレビ番組やCMのギャラなど仕事の単価もかなり下がっていますからね。番組のMCクラスでもかつては1本300万円近かったギャラが50万円とか70万円になっているなんていう話はザラです。知名度がない芸人だと、ひな壇のバラエティー出演でギャラ1万5000円なんてもこともあります。芸能事務所のビジネスモデルは売れっ子タレントによって培った稼ぎやコネクションを活用し、次世代を担う若手や新人を育てるのが基本。そのため、会社の経営が厳しくなると、自然と稼ぎの良い売れっ子に依存する部分が大きくなります。もちろん売れっ子たちも下積み時代は先輩たちの恩恵に授かっていたわけですが、とはいえ、かつての先輩たちほど稼げないうえ、負担ばかりが大きくなれば、フリー転身や待遇の良い事務所移籍を目指す人が出てくるのは必然です」(前出のマネジャー)

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テレビ局との「パイプ」の価値が暴落