休業した「A-Team」に所属していた臼田あさ美(写真:つのだよしお/アフロ)

タレントが“メリット”を感じにくい

 では、こうした不景気の要因は何か。まず挙げられるのは、言うまでもなくインターネットやSNSの普及による“テレビの凋落”だろう。

「日本の芸能界は長きにわたりテレビを中心に回ってきて、芸能事務所のビジネスモデルもそこに依存してきました。人気テレビ番組やテレビCMのギャラが雑誌などに比べると桁違いの高さだったのに加えて、幅広い視聴者層を持つテレビで活躍するメジャータレントを抱えることで、スクールビジネスや商品のプロモーション、プロデュースビジネスも展開できました。テレビの時代だったからこそ、テレビ以外のビジネスに結び付けて莫大(ばくだい)な収益をあげることもできたわけです」(同マネジャー)

 もっとも、テレビの存在が薄くなる一方で、YouTuberやインフルエンサーなどネットやSNSを活用した新たなビジネスも生まれているわけだが、この点に関して別の芸能事務所の幹部はこう話す。

「良くも悪くも、大手芸能事務所はこれまで培ってきた実績や関係性によりテレビ局に強力なパイプを持ち、それゆえ影響力を保っていた側面があります。そもそも、芸能人を対象によく使われる『干す』や『消える』といったフレーズ自体、テレビでの露出を前提とした表現ですしね。ただ、YouTubeやSNSを活用したビジネスに関しては、そうした優位性が発揮できず、タレントに対して“メリット”を与えにくい。それに多少バズッたとしても、かつての人気番組やテレビCMのギャラほどの利益は見込めない。音楽にしたって、レコードやCDという形でリリースしていた頃の方が、配信やサブスクよりも格段に利益率は高かったですからね」

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