――その後のアフタートークでは、お客さんとどのようなやり取りをしたのでしょうか。
「あなたはなぜあの生活に耐えられたんですか?」という質問が多かったですね。僕も舞い上がっていたので何を答えたのか鮮明に覚えていないけど……少し意外だったのが、「あなたのことを誇りに思う」「尊敬します」という前向きなメッセージが多かったことです。実は懸賞生活が終わった後に、海外のメディアからも定期的に取材インタビュー依頼がありました。「あんなネガティブな企画をなぜ受けたのか」「あの企画は犯罪です。なぜテレビ局を訴えないのか」など日本のメディアリテラシーの低さに怒りを向けた質問が多かった。映画を見た方たちも同じような反応が多いかなと思ったら、そうではなかったのが驚きでした。X(旧ツイッター)のフォロワーも海外の方が1万人近く一気に増えて。「話題になっているので映画を見たい」「あなたのドキュメンタリーの映画の続編を作りたい」などのメッセージが届きました。
東北と福島復興のために
――改めて、映画で伝えたいメッセージを教えてください。
懸賞生活の題材がメインではありますが、東日本大震災を経て、東北と福島復興のためにエベレストを登頂するところまで追いかけてもらっています。僕は抑圧された環境で精神的に追い込まれましたが、「かわいそうな人間」では終わっていません。よく誤解されるのですが、懸賞生活をネタに芸能界を震撼させたいという意図は全くないし、告発映画でもありません。日本テレビを訴えるという考えもさらさらないです。