(3)右利きか左利きかのどちらかを推奨するような何らかの物理的あるいは文化的背景が存在するために、それらを共有する集団ではどちらかに偏ってしまう。ただし、地球規模などといった、より大きなスケールでは左右の差がない。
(4)何らかの理由で地球上では右利きが多いのだが、地球外生命まで含めて宇宙全体で平均すれば、右利きと左利きの割合は等しくなる。
とすれば、第2の地球が発見されたとすれば、そこでは左利きの「人」の割合が多いかもしれない。
物理学で用いられる「対称性の自発的破れ」は、(2)あたりに対応すると言うべきだろう。一方、仮に地球上のあらゆる国で統計的に右利きが多いのが事実ならば、右と左の違いに科学的理由が存在しない限り、(4)の可能性が高いはずだ。宇宙人に会う機会があれば、ぜひとも聞いてみたいものである。
このように本来平等であるはずの物事がそうなっていない状況をさして、物理屋は対称性が破れていると表現する。そしてそれは本来あってはならない不自然な状態だとみなし、その背後に何らかの理由あるいは説明が潜んでいると考えるのである。
このように物理屋は平等性あるいは対称性という概念に異常に敏感である。そのためか、人間関係においても年齢や地位の違いはあまり気にしないリベラルな人が多い(と私は信じている)。