話は全く変わるが、私が入学した半世紀前、東京大学の女子学生の割合は約7%であった。現在では全体としては20%以上にまで増加している。しかし、東大物理学科では約70人の定員に対して女子学生がわずか2、3名しかいないという状況が今でも続いている。
これは教員として大いに反省しなくてはなるまい。そもそも物理学研究に限らず、日本の将来はもはや女性の手にかかっていると言っても過言ではない。
これは決して男女平等といった形式的観点だけで済ますべき問題ではない。現在の18歳人口は私の年代の頃に比べて半分ほどにまで落ち込んでいる。つまり、将来の日本を支える人材は半減している。今まで活躍の場を十分に与えられていなかった女性の力を存分に引き出せる社会システムを構築せねば、日本の未来は悲惨であることは自明だ。
平等性や公平性といった議論だけでなく、むしろ社会の損失を防ぐという立場からも、優秀な女性を物理学科に勧誘するのは喫緊の課題だ。
いずれにせよ『僧正殺人事件』、『探偵ガリレオ』に代表される古今東西のミステリーの名作を十分堪能するためには、物理学の理解が不可欠である。この機会に物理学科へ「どんと来い! 女子高校生」。