講習の案内は各教員が自由につくる(撮影/編集部・福井しほ)

「どこまで大きくなるかを調べたいと言われ、つまらないと思ってしまったんです。でも、どうしてもやりたいという生徒に根負けした。調べていくと泥だんごが形を保つにはすぐに説明がつかないことがあることがわかって。私が知らないだけで、泥だんごには面白いことがたくさん詰まっていたんです」

 研究は国内の科学コンテストで賞を取り、海外に飛び出した。

「探究は、ゴールから逆算する思考を養うことでもあります。将来のために何が必要で、大学で何を学ぶか、受験突破に必要なことは……と具体的に戦術を立てることも身につくんです」

 奇跡から22年。右肩上がりの伸び率は横ばいになりつつある。一人でも多くの生徒が志望校に届くよう、一昨年から新たな「探究」を始めた。

「自分で学習を組み立てるには、練習も必要です。週5日7時間授業をしていましたが、学年が上がるごとに授業時間を少し減らしていくことにしました」

 時間割を見ると、1年次に1コマ、2年次に2コマ、3年次に3コマの空白がある。学力を上げるために授業を減らす。悩ましい判断だったが、受験に向き合う上で要になると判断した。

授業はスクリーンを使ったり、黒板を使ったり。用途に応じて使い分ける(撮影/編集部・福井しほ)

「帰る生徒もいれば、委員会をしたり空き教室で勉強したりと自由に使っています。生徒同士で学習のことを話しやすくなったという声も上がっています」

 探究には検証も欠かせない。高3の4月を「中間ゴール」に位置づけ、学習プランが本当に合っているか確認する。うまくいかない部分はこのタイミングで補完していくのが狙いだという。

 堀川からは、今春35人が京都大に現役合格した。探究学習の先駆者として、さらなる検証を続けていく。

(編集部・福井しほ)

※AERA 2024年3月18日号から。合格者数はサンデー毎日、大学通信の共同調査を基にした速報値

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