ミスマッチが少ない
国立大学の推薦入試には二つの種類が存在する。一つは「学校推薦型選抜」。高校の校長の推薦を受けて出願できる入試だ。指定校推薦と間違われることもあるが、学校推薦型選抜は指定校とは違い、大学が求める出願条件に当てはまれば、どの高校の生徒でも出願できる。
二つ目が「総合型選抜」(旧AO入試)。こちらは学校長の推薦がなくても出願できる入試だ。文部科学省によると、現在、国公立大学で「学校推薦型選抜」を導入している学校はすでに9割を超えている。前出の女子生徒が受験した入試も「学校推薦型選抜」だ。一方、総合型選抜を導入している大学は国公立全体で58.7%。入試定員の3割を推薦入試に充てている東北大学はその代表格と言える。
旧帝大などの難関国公立大学の推薦入試は私立大学と違い、共通テストを課す所が多い。そのため「年内に合否が決まる」という安心感はない。その上、論文などの提出書類に費やす時間も必要なため、生徒にとっては負担が大きくなるように見える。では、受験生にとって何がメリットなのか。
推薦入試の合格者を多く出している早稲田塾の中川敏和・執行役員は三つのメリットを挙げる。
「一つ目は大学のミスマッチが少なくなること。例えば同じ学部名でも学問の傾向は大学によって違います。推薦の場合はアドミッションポリシー(大学が求める学生像)をしっかり読んで大学を出願するのでミスマッチが減ります。二つ目は入学後の学びや研究にスムーズにつながることです。出願書類を作る中で学びたいことを考えているため、大学での学びに入りやすくなると思います。三つ目は、出願のチャンスが増えることです」
学校ごとの温度差も
一般入試の場合、国立大学は前期日程で1校、後期日程で1校の最大2校が限界だ。だが、推薦入試に出願すれば、大学によってはチャンスが最大3回ある。とはいえ、全員に向いている入試とは言えない。
まず、入試で主張できる対外的な実績や研究課題発表、論文を準備する必要がある。
推薦入試に挑戦する場合、いつまでに決めたらいいのか。