ドミノ倒しのように、命に関わる病気に見舞われる

 肥満の状態が続く問題点を、久留医師は以下のように指摘します。

「肥満をきっかけに生活習慣病になると、ほかの生活習慣病も併発するメタボリック症候群になることが多く、やがて『メタボリックドミノ』という状態に陥っていきます。高尿酸血症になっているということは、生活習慣の乱れ⇒ 肥満⇒『高尿酸血症』⇒他の生活習慣病の併発⇒動脈硬化という悪循環の中にいる状態です。このままでは腎臓の機能が低下していって、いずれ腎不全や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる疾患に、まるでドミノ倒しのように次々見舞われる危険性があります」

 糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病については、寿命に影響するため、治療が必要な病気だと認識されるようになってきました。しかし、それに比べると、高尿酸血症の問題点はまだ浸透していないようにみうけられます。

ドミノ倒しのように、命に関わる疾患に見舞われる危険性が
ドミノ倒しのように、命に関わる疾患に見舞われる危険性が

【4】尿酸値が上がりやすい、痛風になりやすい体質がある

 悲しいことですが、答えは〇です。生活習慣に気をつけていても、なぜか人より太りやすかったり、血圧が高めだったりする人がいるように、尿酸値が上がりやすい体質の人もいます。冒頭でも記しましたが、尿酸とは肝臓で作られる代謝物の一つで、プリン体が分解されると発生します。大山医師は次のように説明します。

「プリン体は細胞の新陳代謝やエネルギー代謝の際に、ヒトの体内でも生成、分解されるもので、7~8割は体内で作られています。食品の摂取によるものは2~3割です。このプリン体が尿酸になるわけですが、遺伝的体質によって尿酸がたくさん作られやすかったり、排せつが低下したりしている人がいます」

<尿酸値が上がりやすい四つの体質>
1.尿酸の産生が過剰
2.腎臓からの排せつが低下している
3.産生過剰型と排せつ低下型が混合している
4.腸管からの排せつが低下している

 なお、高尿酸血症の患者の7~8割は2の腎臓からの排せつ低下型だといいます。これらの体質に生活習慣の乱れが重なると、発症リスクは高くなってしまいます。治療薬は体質に合ったものを使用すると効果が出やすいです。治療と薬については後編で紹介します。

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