続いて、受注生産方式で「マウスコンピューター」ブランドのパソコンをつくるMCJは来期(25年3月期)、更新需要が期待できる国内向けが回復・伸長する見込みだ。米マイクロソフトのパソコン向け基本ソフト「ウィンドウズ10」のサポート終了時期が25年10月に控え、オフィスや家庭の入れ替えや買い替えなどが見込めるほか、21年ごろまでに小中学校で整備が進んだ政府の「GIGAスクール構想」で導入した端末の入れ替え時期が迎えるといった恩恵を受けそうだという。
「同社にとってスマホやパソコンの市況回復は、部品や製造装置関連メーカーなどに比べてより直接的な好影響が見込めます。国内向けだけでなく、電子看板などを販売する欧州や、修理事業などを手がけるインド向けの事業も拡大中です」(同)
インバウンド需要
自動車生産の本格回復を受けてクルマ用のガラスなどが伸びるAGCや、百貨店店舗の業績が回復し訪日外国人(インバウンド)需要が収益を押し上げる三陽商会は、配当政策の面でも注目だ。株主への配当の還元目標として「株主資本配当率(DOE)」を基準に用いているためだとしている。田嶋さんは言う。
「株主への還元目標として、1株あたりの最終利益のうち、どのくらいの割合を配当として還元するかを示す『配当性向』を用いる企業は多い。でも、それだとその年の利益によって配当の額が大きく変動する場合もあります。これに対し、株主資本配当率を基準として用いている企業は、株主資本が利益よりも大きく変わるようなことがないこともあって、安定した配当が期待できます」