愛子さまが学習院大学を卒業した。振袖にはかま姿でメディアの前に立ち、「大学生活を振り返られていかがですか?」という問いかけに、「たくさんの新しい学びを得て、充実した4年間を過ごすことができました」と答えていた。
振袖には華やかな柄が描かれていて、愛子さまによく似合っていた。はかまとの色の調和も素敵で、そんなことを書きたいと思う。が、和服の知識が乏しすぎて表現に詰まり、現場にいた記者たちの記事を参考にしようと思い立つ。探してみた。結果、テレビ局も新聞社もみんな「桜色の振袖に、紺(色)のはかま」と表現していた。え? 現場で記者がそれぞれに、「桜色だ!」と思ったのかもしれない。が、元新聞記者である私は、直感的にこう思った。宮内記者会、握ったな――。
記者なら、愛子さまの姿を描写しようと思うはずだ。だが、着物に慣れている記者は少ない。「ねー、どうする?」。愛子さまが立ち去った後、誰からともなくつぶやく。「桜色って、感じ?」。誰かが答える。「あ、いいね。それでいく?」と反応があり、「いく、いく」と広がる。「はかまは紺色だよね?」と誰かがつぶやく。「うん、うん」と誰かが返す。そして、「桜色の振袖に、紺(色)のはかま」が並ぶ。
以上、すべて想像、否、妄想だ。一応、記者クラブ体験をもとにしているが、それも20年以上前の話だ。ちなみに毎日新聞は、「薄いピンク色の振袖」と書いていた。何とか「桜色」でない表現を模索したかとも思うが、単にそう見えただけかもしれない。
と、余計なことを長々書いたのには、理由がある。卒業式に合わせて、愛子さまの感想を各社が報じた。宮内記者会の質問に文書で回答したもので、各社がネット上に全文をあげている。読んで驚いた。質問が1問だけなのだ。
小室眞子さんは2014年、佳子さまは19年、国際基督教大学を卒業した。それに合わせ、2人とも同じく文書で答えている。が、記者会はどちらにも5問ずつ質問している。佳子さまの有名になった「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」はこの時の答えだ。記者会が「眞子さまは、結婚に関する儀式を延期されていますが、家族としてどのように受け止めていらっしゃいますか」と尋ねたのだ。
それなのに、愛子さまにはたった1問。この驚きと残念感が、妄想の根底にある。