一方、さらに北側の茨城県では昨年12月、利根川を越えた下妻市でキョンの死がいが見つかった。22年に石岡市、23年にも筑西市でも確認されており、県内で4例目となる。すべてオスだという。
茨城県環境政策課の飯村勝輝課長補佐は、
「対岸の火事どころではない状況です。かなりの危機感を持って対応を考えています」
と話す。来月には有害鳥獣の捕獲対象にキョンを追加し、自治体で駆除ができるようにするという。
房総半島で被害を増大させながら、生息域を拡大してきたキョン。
今後、半島内の「防衛ライン」を突破し、さらに利根川も越えてしまえば、もうだれも止められない――。「脅威」が、静かに広がっている。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)