阪神・椎葉剛
この記事の写真をすべて見る

 昨年のドラフト会議で大きなトピックスとなったのが独立リーグからの指名だ。支配下6人、育成17人の合計23人が指名を受けており、これは史上最多の数字である。大谷輝龍(日本海リーグ・富山→ロッテ2位)、椎葉剛(四国アイランドリーグ・徳島→阪神2位)と2人の投手が2位という高い順位で指名されており、大谷は即戦力の期待に応えてここまでの対外試合でも好投を見せている。これからも独立リーグがNPBへの重要な人材供給源となる可能性は高いだろう。

【写真】「2億円」が「400万円」に急降下 球史に残る“大減俸”を味わった選手がこちら

 ここまで独立リーグからの指名が増えたのは様々な要因があるが、特に大きいのがアマチュア選手の間でNPB入りの最短ルートという認識が広まったことが挙げられる。四国アイランドリーグが2005年に発足し、続いて2007年にはBCリーグも開幕。しかしスタートした当初は社会人の企業チームに入ることができなかった選手や、高いポテンシャルがありながらも高校、大学を中退した選手も多く、ドロップアウトする選手の受け皿としての要素が強かったことは確かだ。

 これは現在でももちろん機能しており、昨年指名された中でも伊藤琉偉(東京農業大中退→BCリーグ・新潟→ヤクルト5位)、奥村光一(東海大中退→BCリーグ・群馬→西武育成6位)、平山功太(環太平洋大中退→ベイサイドリーグ・千葉→巨人育成7位)がそのケースにあたる。日本の野球界全体のことを考えても、独立リーグが果たしてきた重要な役割と言えるだろう。

 それ以外のルートでまず目立つのが社会人野球を経験した選手だ。冒頭で触れた大谷、椎葉をはじめ、大泉周也(日本製鉄鹿島→BCリーグ・福島→ソフトバンク育成1位)、松原快(ロキテクノ富山→日本海リーグ・富山→阪神育成1位)、芦田丈飛(オールフロンティア→BCリーグ・埼玉→オリックス育成4位)の3人も社会人から独立リーグに移籍してNPB入りを果たしている。

 社会人野球の企業チームの選手は育成ドラフトでは指名できないという申し送り事項があることと、重要な大会は一発勝負のトーナメントである社会人野球では安定感のある選手が好まれる傾向が強いということが、このようなルートができる要因と言える。

次のページ
NPBに優秀な選手が増えたワケ