西田昌司氏(撮影/上田耕司)

良心に恥じることは何もない

 この秘書は、一連のやりとりを西田氏に告げると、氏の性格上、「何やっているんだ!」と事務局長らに抗議するなどして、派閥内での立場が悪くなってしまうかもしれないと危惧したという。そこで秘書の一存で、毎年受け取った現金は、その翌年の派閥パーティーのノルマ充当分にまわすことに決めたという。

 西田氏によると、ノルマは最初は40~50万円程度だったが、それが100万円、190万円とだんだんと上がり、当初からノルマ達成に苦労していた。

 しかしコロナ禍の2021年、22年と、ノルマが下がったこともあり、2018年から22年までの5年間は還付金が増えた。その結果、政治資金収支報告書の不記載額は合計で411万円になった。つまり、ノルマの達成にきゅうきゅうとしていたものが、ノルマが少なくなったことにより還付金が増えてしまった、というのが経緯だという。

「収支報告書を修正をしなくてはならないことに対し、私は責任と同時にある種の悔しさを感じています。身に覚えのないところで還流が勝手になされ、二次災害に巻き込まれたようなものです。私自身、良心に恥じることは何もありません」

 裏金問題に関与した議員について、岸田文雄首相は国会会期末までに処分する考えを明らかにしたが、西田氏はこの秘書を処分したのだろうか。

「その秘書は、私が参院議員になる前から、オヤジ(元参院議員の西田吉宏氏)の代からの秘書なんです。裏金問題の件が起きて、秘書から真相を聞き、私の政治責任を痛感しました。私は当時『参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会』の委員長でしたが、ただちに委員長の辞任を党に申し出ました。秘書は『私はどうしたらいいですか』と言うから、『君はもう一度、運転手からやり直してくれ』と言って、運転手をしてもらっています」

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「嫌疑なし」と言っている場合ではない