天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが20日、学習院大をご卒業されることが発表された。大学では日本の文学、和歌などを学んできた愛子さま。その興味や関心は、どのように培われたのか(この記事は、2024年1月3日に「AERA dot.」に掲載した記事の再配信です。肩書や年齢等は当時のもの)。
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天皇、皇后両陛下の長女で、学習院大4年生の愛子さまが12月20日、卒業論文を提出した。大学では平安時代から明治時代の古典や文学、和歌などを学び、「中世の和歌」をテーマに論文を執筆した愛子さま。公開されている映像には、幼少の愛子さまが親しんでいる絵本が数多く登場し、本の選び方から両陛下の子育ての方向性も見えてくると、絵本や児童書を紹介する「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんは話す。
「もういいかい、まぁだだよ」
幼い愛子さまの声が響く。絵本をクルリと逆さまに向けると、映像の撮影者に読み聞かせるように、
「どこに、かくれたのかなあ」
続けながら、愛子さまの小さな手が『うずらちゃんのかくれんぼ』とタイトルが書かれた絵本のページを一生懸命めくる。
「そのとき…」
言いかけた愛子さまがふと、カメラに目線を合わせて、
「パパも!」
と呼びかけた。
「はい、ふふっ」
と「パパ」の笑い声が聞こえる。愛子さまの求めに応じた「パパ」は、
「おおい、モリゾー。こえをきかせてくれよ」
と、愛子さまとは別の絵本『もりの声』の内容をアレンジして応えた。実際は「おおい、もりよぉ」という一節だが、翌年2005年に開催された「愛・地球博」のマスコットの「モリゾー」に言い換えたのだ。
愛子さまは、絵本を「パパ」に向けたままページをめくり、ふたりの読み合いは続く。愛子さまの仕草が愛らしくてたまらないのだろう。「ふふっ」と「パパ」の笑い声が漏れる。
「いくらよんでもこたえはありません」
「パパ」が最後をしめくくると、
「おっしまいっ」
本を閉じながら愛子さまはカメラに向けて、ニコッと満足げな笑顔をみせた。
天皇陛下と雅子さまの子育ての指針
宮内庁が04年9月に公開したこの映像は、「パパ」である当時の皇太子さまが、愛子さまを自ら撮影したものだった。普段は明かされない、家族の自然な会話が公表されたことへの反響は大きかった。