絵本や児童書を紹介する「絵本ナビ」編集長の磯崎園子さんは、こう振り返る。
「愛子さまの成長の節目に公開された映像や写真に写っていた絵本は、ワイドショーで繰り返し紹介され、人気に火がつきました」
愛子さまが1歳の誕生日に公開された写真には、『いないいないばああそび』(きむら ゆういち)、『ぐりとぐらのあいうえお』(中川 李枝子)、『みんなでね』(まつい のりこ)、英語の布絵本が写っていた。
2歳の誕生日には、雅子さまが『うしろにいるのだあれ』(ふくだ としお)を手に読み聞かせをしている映像が紹介された。
愛子さまが「パパ」と一緒に絵本を読んでいる映像には、『はんしろうがわらった』(せな けいこ)が写り込んでいる。
また、エリック・カールの『はらぺこあおむし』の劇を鑑賞した皇太子さまが、「うちの子もこの本が大好きなんですよ」と話したという。
こうした絵本の選び方から、天皇陛下と雅子さまが愛子さまを育てる上での指針のようなものが見えてくると、磯崎さんは分析する。
「愛子さまとの会話のやりとりが発生するような絵本を選ばれているという印象です。また、動物が登場する絵本が多いので、小さなころから生き物がお好きだったのでしょうね」
「もういいかい」と愛子さま
乳幼児の成長は、大人が思っているよりも速い。そして絵本には、子どもの発達に合わせた工夫が凝らされている。
たとえば、愛子さまと陛下が一緒に読んでいた『うずらちゃんのかくれんぼ』は、赤ちゃんの目にとまりやすいように鮮やかな色を選んで使っている。そして「もういいかい」「まあだだよ」というかくれんぼの声かけが、親と子の間でのコミュニケーションにつながる仕掛けなのだという。
『うしろにいるのだあれ』は、カメや猫、犬、ゾウといった生き物の体の一部が描かれ、次のページにある答えについて想像力を働かせて楽しむことができる。
「指差しといった動作が出てくるのが1~2歳の月齢で、繰り返しの動作が楽しい時期です。同じ絵を何回見ても、その度に指を指して笑う。つまり、毎回の発見を新鮮に受け止めることができる。それが、楽しくて仕方のない時期です。たとえば、『うずらちゃん』が次のページに登場することが分かっていてもうれしいし、それをパパやママに伝えたい。そして親も、そうしたわが子が可愛くて仕方がないわけです」