小学校の低~中学年は、「絵本ではなく、文字の本を読みなさい」と言われがちな時期だ。しかし、磯崎さんは、
「同じ年齢の子はもっと難しい本を読んでいると、親があせる必要はありません。子どもが絵本を読みたがるのであれば、好きなだけ読ませれば大丈夫」
と話す。一口に絵本といっても自然科学、戦争や宗教、LGBTなど、さまざまなテーマを絵でわかりやすく解説するものも多い。小学校の中~高学年になると抽象的な内容もの理解できるようになり、体験したことのない文化や知識の世界へ通じる扉となりうるのだ。
たとえば09年2月、皇太子さまの誕生日に公表された写真。愛子さまが学習院初等科1年生のころだ。
テーブルには地球儀と一緒に、『はじめましてにほんちず』、『はじめましてせかいちず』が置いてあった。1990年の発売からロングセラーを続ける幼児向けの大型の地図絵本だ。ご両親と一緒に、会話を楽しみながら学びを得ている様子がうかがえる。
また、小学生になっても読み聞かせをしてあげるのがいいと、磯崎さんは話す。
「ひとりで読書をする時には、文字を追う作業に集中しがちです。自分で文字を追う『読書』と本を読んでもらうことは、まったく別の体験なのです。本を読んでもらいながら、ぼんやりとお話の世界を想像することもできます。絵本ならば絵をじっくりと見る時間があります。文字が多いか内容が難しいかなど、難易度だけで本を選別してしまうのはもったいないことです」
絵本や本を通じて子どもは成長し、親は絵本を手にした子どもの反応の変化、成長の様子を楽しむことができる。愛子さまを育てた本からは、そんな「パパ」と「ママ」の愛情の深さが見えてくる。
(AERA dot.編集部・永井貴子)