誰がキックバックを再開させたのか
それにもかかわらず、なぜ安倍派内でキックバックは続いてきたのか。その点は衆院の「政倫審」でも質疑されたが、真相は解き明かされていない。
「安倍元総理が亡くなられる前は、清和研の会長が最終的に何でも決めていました。安倍元総理が『還流をやめる』と決め、そして安倍元総理が亡くなられた後に、一体誰がどのような理由で(還流を)再開させることを決めたのか。いろいろな意思決定のプロセスがあったはずです。安倍元総理が亡くなられた後、誰がそうした重要な意思決定をしたのかはこの問題の本質と思います」
さらに稲田氏は今回の検察の捜査についても警鐘を鳴らしている。
「今回、すべて検察のストーリーで党も動き、その結果安倍派議員はおしなべて犯罪集団の一員になりました。検察に言われるがままと言っても過言ではありません。議員たちの事情はさまざまであるのに、それらを無視して、政治資金の寄付を受けたとの確認書を書かされたのです。特に議員の預かり金口座にあった分は派閥の会計責任者の知らない未精算金であり、知らないお金の『不記載罪』は成立しないはずです。しかし個々の議員の会計処理の法的な意味を吟味せず、全て検察のストーリーで進んだことは、今後に禍根を残したと思います。検察にすれば自民党はくみしやすしと思ったでしょう」
この裏金問題が引き金となり、岸田政権の支持率は急落している。2月中旬以降に発表された内閣支持率は毎日新聞14%、時事通信社16.9%、朝日新聞21%、共同通信20.1%と、軒並み岸田政権発足以来の最低記録を更新した。稲田氏はそんな岸田首相に何を思うのか。