清和政策研究会(安倍派)の事務所

事務所に“裏金”があった理由

 稲田氏は政倫審を自身の“潔白”を証明するための場所にする気はなかったと述べるが、では、肝心の「裏金」についてはどう考えているのか。キックバックとして受け取っていた2万円(21年)、80万円(22年)についてはこう答えた。

安倍派の会計担当者から『21年に2万円の還付があった』と言われ、当時の秘書に確認したところ、2万円は“派閥の封筒”に入ったままの状態で、議員会館の事務所の箱に入れたままでした。80万円については、別の当時の秘書が安倍派から現金で80万円を渡され、『預かり金口座』に入金していました。それは今回を受けて、私が調査してわかりました。ただ、全ての責任は私にあります」

 裏金問題で騒がれるまで気づかなかったのはなぜか。

「私はかつて政調会長や防衛大臣を務めたので、安倍派のパーティー券販売ノルマは450万円と高額でした。ノルマを達成できないことが常態化していたので、安倍派のパーティーで自分にお金が返ってくるという意識など皆無でした。むしろ、どうやってノルマを達成するか四苦八苦していましたが、コロナ禍でノルマが半分の230万円に下がったことにより、結果的にノルマを超えた部分があったということです」

 稲田氏によると、18年から22年までの5年間ノルマ未達のため合計235万円を持ち出していたという。

「私が自己資金を(事務所に)貸し付けて、それを年間通して使い、そこから政治資金にあたる分だけを戻すシステムにしていました。ノルマに足りないチケット分は最終的には自腹で、私の財布から出していたことになっていたと思います」

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安倍元首相は「もう返金はやめる」