アントニオ猪木さんのパーティーで登壇した面々。天龍さん(写真左)も満面の笑みで楽しそうだ(撮影/松永卓也)

 俺がお祝いのパーティーで印象的だったのは、2020年2月に開催された、猪木さんの喜寿のお祝いパーティー。猪木さんと長州力、藤波辰爾と一緒のステージに上げてもらったのが俺の誇りだ。一緒に「ダーッ!」をやってね。

 いつもだったらへそを曲げてそんなことはやらないんだけど、長州と藤波につられてやっちゃったよ。娘には「一番ニコニコしてた」なんて言われたけど。猪木さんも楽しそうでよかったし、あの後すぐにコロナが大流行し、何もかもが自粛になり、ギリギリでパーティーを開催できたのも猪木さんらしいなと思うよ。

還暦の祝いでマジギレ!

 俺を祝ってくれたパーティーで印象的だったのは、還暦祝いだね。ある日、女房と娘から「小沢さん(※天龍さんがよく銀座で遊んでいた仲間の銀座の寿司店の店主)が、久しぶりにご飯食べようって」って言われたから、小沢の親父と飯を食うつもりで新橋の中華料理屋へ行ったんだよ。

 そこで個室のドアを開けたら「天龍さん、還暦おめでとう!」って、いつも飲んだりしている仲間が30~40人集まって、サプライズで祝ってくれたんだ。その瞬間、普通に飯を食うもんだと思っていた俺は「騙しやがったな!」とブチギレた! 

 どうやら女房と娘も知らされてなかったようなんだけど、そのときの俺はそんなはずがないと思って「騙したなお前ら! 俺はこういのが一番嫌いなんだ! ふざけんじゃねえ! 帰る!」と大激怒だ。

 まだ俺には主催の小沢の親父や楽ちゃん(当時の三遊亭楽太郎)たちに怒りをぶつけるわけにはいかないという理性もギリギリ残っていて、家族がとばっちりを食らった形になった。「俺は祝われたくないんだよ!」って出口に向かって歩き始め、それをなだめる女房は大変だったね。普段は冷静な女房も泡食ってたよ。あの頃はまだ現役だったし、俺も元気だったなあ。

 結局どうなったかって? 一杯飲んでるうちに機嫌もよくなって、最後は行きつけの銀座のクラブ「ポリス」まで行ってガッツリ楽しんだよ(笑)。この店は元警察官が開いた店で、不謹慎な店名だろ!? 俺や小沢、楽ちゃんといつも飲みに行っていた店なんだ。始まりは激怒したけど、祝ってもらうのはいいもんだね。

 ただ、この一件以来、嶋田家ではサプライズが禁止になったんだけど、俺自身はサプライズで相手を祝うのは好きだから始末が悪いな。相撲プロレスも意外なことをかますのが好きだったからしょうがないだろう……。

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