学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)

小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、塾なしで大学受験に臨もうとする女子高校生からの質問に答えてもらった。

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Q. 将来、国家公務員を目指しています。卒業生に国家公務員が多い大学に行きたいのですが、家庭の経済状況的に塾には通えません。廣津留さんも塾に行かずに大学受験をしたそうですが、学校の授業や自習だけでどうやって受験勉強をすればよいでしょうか。

A. 学校の授業に全集中することに尽きると思います! 塾の先生に聞けることは学校の先生にも聞けますから。高校の先生たちは各科目を教えるプロフェッショナル。科目ごとにおすすめの教材や自習のやり方を聞いたら、必ず教えてもらえると思います。自習スタイルを確立すれば、お金もかからないし、集中できる時間も増えて、いい意味で自分のペースで勉強ができる。特に、受験期は他人と比べても精神的に削られるだけなので、マイペースをキープするのはすごく大事なんですよね。

 私は塾に一度も行ったことがありませんが、それで困ったことは特にありません。逆に、塾に通うことで安心して学校の授業をおろそかにしたり、塾のテストのランキングだけを気にして“井の中の蛙”状態になってしまったりと、意外な落とし穴もあるかもしれません。それに、通う際の移動や友達とのおしゃべりなど、時間のロスも意外に多そうです。そう考えると、塾に行かないことにもプラスの面があると思えてきませんか? とにかく、学校の授業の中で全て吸収する!というつもりで集中して臨むのがコツです。私の場合は先生の目をしっかり見て話を聞くと、内容が頭に入ってきやすかったです。授業を真剣に聞くほど疑問や質問が出てくるのでそれらをメモしておき、授業後や放課後などに先生に聞きに行く。積極的に質問をしてくる生徒を邪険にする先生はいないし、むしろ熱心さを買われるのではないかと思います。先生に教えてもらったことを家で復習して、次の授業の予習もしておく。そのサイクルができれば学校の授業だけで十分だと思います。

 また、高校には進路指導を担当する先生がいますし、過去の学生のデータから得た膨大な受験の情報も集まっているはずです。進路や受験についての悩みがあればアドバイスももらえます。塾に行けないことを決してマイナスのスタートだとは思わないでほしいです。

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廣津留すみれ

廣津留すみれ

ひろつる・すみれ/バイオリニスト、国際教養大学特任准教授・成蹊大学客員准教授。1993年、大分市生まれ。2016年にハーバード大学(学士課程)、2018年にジュリアード音楽院(修士課程)を卒業。世界的チェリスト、ヨーヨー・マとの共演のほか、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズの演奏・録音などを担当。情報番組にコメンテーターとして出演も。著書に『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』(KADOKAWA)など。2022年にファーストCD「メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ」をリリース。ジュリアード音楽院の教授ジョセフ・リン氏の代演を務めたコンサートのライブ音源を収録している。

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