「俺は人を鼓舞しようと思ったことはないし、どの曲も『がんばれ、俺』だから」と語る増子直純さん(撮影/品田裕美)

どの曲も「がんばれ、俺」という気持ちで歌っている

――昨年配信された「季節のない街」にも出演されています。監督の宮藤官九郎さんから演技についてどんなこと言われました?

あんまり言われなかったね(笑)。俺のほうから「本当に大丈夫?」って何回も聞いたけど、「全然大丈夫です」って。撮影していてわかったんだけど、物語を噛み砕いて表現するのが役者だと思っていたけれど、俺に求められていたことはそうじゃない。普段通りに動くことで、リアリティみたいなものを加える役割だったんだよね。

――増子さんは俳優業もずっと続けていますね。

俳優とも知り合えるし、本当に面白いよ。「サンバイザー兄弟」(宮藤官九郎の作・演出による舞台)で共演した瑛太くんともずっと仲良くしていて。今回も(メンバー解雇のニュースをきいて)「兄貴、大丈夫ですか」って連絡くれたんだよね。

――そうやって人脈が広がっていくのも増子さんのすごさだと思います。今年の2月上旬に行われた怒髪天の40周年特別ライブには、大勢のバンド仲間に加え、山本譲二さん、渡辺美里さん、影山ヒロノブさんなども登場。

ありがたいよね。「どうしてこんなにすごい人たちが出てくれたのかな?」って考えたら、妬まれてないからじゃない? 怒髪天に嫉妬したり妬んでもしょうないというか。みなさんに温かく見守ってもらってます(笑)。

――(笑)。増子さんはソフビ人形のコレクターとしても知られています。

“ヘドラ”(『ゴジラ』シリーズに登場する怪獣)のコレクションはまちがいなく世界一だね。去年、限定5体のヘドラのソフビが販売されて、それが25万円だっていうんだよ。ちょうど歯のインプラントも入れなくちゃいけなくて、どうしようかなと思ったんだけど「それは持ってない」とは言いたくないから買ったよ。25万円のソフビを買うなんて、金持ちかバカしかいないよね(笑)。

――怒髪天の新曲「ザ・リローデッド」には、〈残された時間はどれだけ? 正直、焦ってる〉という歌詞が。年齢を重ねるにつれて歌う内容も変化していますね。

札幌でライブをやると中学、高校時代の同級生が見に来てくれるんだけど、そいつらに聴かせて恥ずかしくない曲、そいつらが「いいな」と思う曲を作りたいと思ってる。何も難しいことではなくて、そのときに自分が思っていることをそのまま歌えばいいんだよ。俺は人を鼓舞しようと思ったことはないし、どの曲も「がんばれ、俺」だから。そういう歌を歌ってる俺を見て、何か感じてくれたらいいなと。

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