さらに、コストカットについて問われると、
「コストも考慮した選定になっている。費用の適正性もモニタリングをしている。国民への説明責任もあり、政府として管理監督をしたい」
と説明するにとどまった。
吉村知事が同日、「建築家がトイレに魂も吹き込んでいます」と発言すると、立憲民主党の蓮舫氏は、
《吉村知事、大丈夫かしら。コスト単価、建設費用の比較表や必要性を明らかにして納税者を説得させるのではなく、精神論ですか》とXにつづった。
吉村知事は、
「8つのトイレは若手建築家の技術、価値観などの要素を採り入れたもの。2億円かかるというが、公共施設の平米単価でみれば大きく変わりません。2億円で1つのトイレというのであれば高いと思うが、便器が50~60個ある大規模なもの」
として適正価格との認識を示している。
業者はイメージダウンを心配
こうした動きに、大阪府のある幹部はこう打ち明ける。
「万博はパビリオンが目玉で、トイレを見に来るものではないなど、厳しい意見も府民から寄せられている。確かにデザイナーズトイレにしなければ、もっと予算が削減できるのは事実。これまでパビリオンの建設費や工期の遅ればかりがニュースになっていたので、トイレまでが批判の対象になるとは思いもしなかった。吉村知事もかなり気にしているようで、夜遅くまで新聞やネットニュースで2億円トイレの記事をチェックしています」
「2億円トイレ」を受注しているある施工業者の関係者に聞くと、
「パビリオンがどうなるのかと言われていたのが、今度はトイレ。こちらは万博協会や建築家の図面通りに建設するだけです。この規模でやれば2億円はかかると思いますよ。会社の幹部は『2億円トイレを受けたばかりにイメージが悪くならないか』と心配していました。正直、万博はどんな仕事をしてもたたかれるので、やりたくないですね」
と本音を漏らした。