「大阪・関西万博」に向け、大阪湾を埋め立ててつくられた人工島の「夢洲」で工事が進んでいる。だが、膨れ上がるコストの問題が横たわる。AERA 2024年1月22日号より。
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万博にかかるコストは膨らみ続けている。
今のところ、関連するインフラ整備だけで、約10兆円、会場建設費は倍増。前売り券の売れ行きと関係なく、多額の税金が投入される。いったい万博に、いくらかかるのか。
誘致していた2017年、1250億円と言われた会場建設費。だが、誘致決定後、費用はどんどん上がっていった。
20年12月、会場建設費は想定額の1.5倍の1850億円に増えると発表された。増額の理由は、当初の計画になかった大屋根の建設、日よけのための入場ゲートの屋根の設置、トイレ整備など。日差しの厳しさ、必要なトイレの数は、当初からわかっていたのでは?
これには、疑問の声が与党からも上がった。23年11月、国会の衆院予算委で、公明党の伊佐進一氏は「当初の計画が相当ずさんだったのでは」と批判した。それもそのはず。経済産業省博覧会推進室の担当者は、本誌の取材にこう話す。
「1250億円というのは、具体的な会場のデザインがまだ決まってない段階の数字でした」
元々、無理を承知だったのだ。23年12月、万博協会の石毛博行事務総長は朝日新聞のインタビューに「1850億円が、事実上のスタートラインだと考えている。1250億円は相当無理のある話であったと思う」と話した。
もう増額しないだろう。万博の「基本計画」に、1850億円は「最大の額」だと注釈が書かれていたが、23年10月、会場建設費の2度目の増額が発表された。当初の計画から1.9倍となる2350億円となった。増額の主な要因は、物価上昇だという。大阪府の吉村知事は府議会で「今回が最後の増額だと考えている」と答えた。
なぜここまで増額したのか。元財務官僚の田中秀明・明治大学公共政策大学院教授は言う。
「東京五輪でもそうでしたが、費用が大きくなると、誰が負担するのかという議論になるので、最初はできるだけ小さく見積もりたい傾向があります」