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 日本経済の停滞が長引く今、「海外のほうが稼げる」と多くの性風俗業の女性が海を渡っている。識者によると、この流れは今後も加速していくという。背景には、日本の性風俗業界の問題点やAV新法の影響がある。朝日新書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(著:松岡かすみ)から一部を抜粋、再編集して紹介する。
 本書では、違法である性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。個人の責任如何でなく、現代日本社会全体で考えるべき問題を提起している。

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「いずれこういう日が来るとは思っていましたが、ついに来たかという感じです」

 性風俗業界で働く当事者を支援する団体「SWASH」の元には、最近、オーストラリアのセックスワーカー支援団体から、「日本語で書かれた性感染症予防についての啓発資料を送ってほしい」という依頼があった。オーストラリアで日本人セックスワーカーが増えていることを背景に、「日本人セックスワーカーに配布したいから」というのが理由だという。

「海外で働く日本人セックスワーカー向けの情報が必要になる時代が来るなんて、10年前には思ってもみませんでした。これまで海外では、移民セックスワーカー向けに、困った時の相談先などが書かれたパンフレットが英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語などで用意されていましたが、そこに日本語が加わる時代が来たのです」

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風俗嬢の海外出稼ぎはもう止まらない